心理学講座 心理学を学びたい方へ・認知心理学
認知心理学
私たちの生活には、近年あらゆるところにコンピュータが入りこんできています。このコンピュータは開発当初から、私たち人間の頭脳と似た働きをすること、いわゆる人工知能としての役割が期待されていました。これは、つまり、人間の知能を機械的な情報処理を行うシステムとしてとらえている、ということになります。
人間の知能は、経験したことを整理し、知識として蓄え、それをもとに新しい事態に対する理解を進める。これと同じような情報処理システムとコンピュータに持たせた結果、コンピュータは人間よりさらに多くの情報を処理するようになっています。何か心理学の講座とコンピュータが繋がっているなんて、不思議な気分になります。
しかし、どれほど優れたコンピュータでも人間とは多くの点で異なっております。たとえばコンピュータは何台にも同じ知識を持たせることが可能になりますが、人間は、やはりコンピュータのようには、いきません。人間には、推論や直感といった機能があるために、それぞれが固有の知識内容を形作り、個人差が生まれるからです。
人間が未知の状況に遭遇すると、今までの知識を使って結論に達しようとします。そして推論が使えない場合は、直感による判断も行います。やはり、コンピュータにはこういう機能は十分ではありません。こうしてコンピュータを人間に近づけるために、知能というよりも人間の認識の仕方を総合的に研究しようとする分野が、認知心理学と呼ばれる分野になります。心理学はこのように、新しい分野を次々に作りだしているものでもあるのです。
では、認知心理学の分野でコンピュータを人間に近づけるためにどのような研究が進められているのでしょう。コンピュータに思考させるためには、人間がどのように思考しているのかを研究する必要があります。人間は長い時間をかけて蓄えた知識や実践によって物事を判断したり、新しいことを考えたりしています。これまでの研究では、その知識には大別して2種類あることがわかってきています。
1つめは、何々は何々である、例えば「○は車である」といった宣言的知識です。そして2つめは、車を動かすにはキーを差し込むといった、何かをするための手続きを示す手続き的知識になります。人間はこうした知識の蓄積をもとに、さまざまなことを判断します。コンピュータを人間に少しでも近づけるためには、この知識を蓄えさせなければなりません。
心理学の講座を受講する私たちもいつも簡単に普通に使っているコンピュータにも、このような積み重ねで改良されているのです。
このように認知心理学を考えてみると、いかに私たちの脳の出来が素晴らしいものなのかを再認識できることでしょう。こんなに進んだ世の中でも、やはり私たち人間の身体は真似できにくいくらい素晴らしいものなのです。色々なことを考えさせてくれる学問、それが心理学のなのかもしれません。